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一一軒目   牛もつ  宮谷

 

TEL      077-565-0775
住所     滋賀県草津市西大路町9-13     
営業時間   17:30~23:00
定休日    不定休(基本的に日曜日らしい)


 草津駅より徒歩約5分……草津駅から250m?



 店外の様子。

 ビルの一階にある為、自己主張に乏しい。初見で入ってくる人は少ないかも知れないが、少人数で行っても予約しないと基本的には入れないので、その点は問題にはならないのだろう。この辺りにライバルとなり得るもつ鍋屋がないから独壇場なのだろうか。





 店内の様子。

 一言でいうと店内は狭い。30人押し込めないのではないだろうか? 全てが座敷で、トイレが外にあるという不親切仕様だが、上品なもつ鍋屋というのも不自然な気がするので、こんなものだろう。個人的には、もつ鍋屋というと凄く煩雑な店舗というイメージがあるのだが……


 ちなみに、店内の冷蔵庫には、肉が吊るされており、ウチは一頭買いしているぜ、という雰囲気が出ている……気がしないでもないが、もつ鍋用ではないし、焼き肉用か? それにしては……





 つきだし

 何時、行ってもきゅうりの浅漬けが出てくるようです。特筆すべきことはないが、結構な量が出てくるので、ビールのお供一杯分くらいにはなる。付き出しの量が多いのは良い事だ。





 牛たん刺

 1500円もするが……食べる価値はある。牛たん刺というのは、時折、置いている店もあるが、味がハムに近い店が多い。もしかすると表面だけ焼いてトリ ミングでもしているのだろうか?  食べると非常に残念な気分にさせられるのだが、こちらは完全に生肉であり、牛たんの味が前面に出ている。色の鮮やかさ も素晴らしいが、舌に乗ると脂が溶け、たれとは違う肉本来の甘みが姿を現す。京都のもつ鍋で有名な虎屋ですら残念なものなのだから、これは特筆に値する一 品と言えよう。新鮮な近江牛を出す店では、生で食べられますと豪語する店もあるが、たんだけは別なんですよね。危険なのでしょう。こうして生肉として出す 以上、自信があるということなのか。ちなみにタレは甘めだが濃く一般的なものではない。何故かカラシが付いている。大将は名古屋の人なのだろうか。




 牛たたき

 牛肉をたたきにするというのは、決して珍しいものではないが、店で提供されるものでも、内側にこうまで鮮やかに赤身の部分を残している店は少ない。全面 を同じ焼き具合でたたきを作るというのは難しいのかも知れない。こちらのタレは牛たん刺と比して些か味が薄い気がするが、すりおろしにんにくとネギ、そし て胡麻が使われている為、薫り高い部分もある。




 牛煮込み。

 旨味成分が流れ出ている気がしてならない。まぁ、煮物で肉類の旨味が流出するのは宿命なのでしょう。肉じゃがの肉がカスカスである事からも良く分かる。 無論、汁に旨味が出ているので、これにネギを浸して肉に乗せて食べれば十分に美味しくもあるが、牛肉は煮るべきではないと再認識した。油分が出すぎる。




 牛たん焼とつらみ焼。

 この店は、もつ鍋を推しているが、焼き肉も負けていない。近江牛のA5ランクを使用しているという表記が店内にある通り、絶品と言える。……結構な値段 だが。牛たんは、安物のような弾力がなく、さっぱりとした肉汁はレモンなど不要なほどである。厚めに切られてはいるが、鶴橋の焼肉屋の様に、牛たん独特の 食べ易さが損なわれる程に厚い訳ではなく、また短時間で火が通る程度なので好感が持てる。そして、つらみ……確か頬肉だったか? は、その厚みに比して柔 らかく、噛み締めると、肉汁がかなり出てくるが、脂の多い肉特有の胃もたれする脂分ではない。全体的に見ていると、この店では脂分の多い肉を焼肉として出 すのは避けている様に見える。焼き肉の油は満腹感を刺激する気がするので有り難いことだ。……まぁ、店側としても焼肉で満足して客に帰られると、もつ鍋の 出番がありませんなからね。





 焼いてみる。

 ちなみに、もつ鍋を先に選択すると後から焼肉は無理らしい。どちらも食べたいならば先に焼肉を食べるしかない様である。まぁ、その方が、腹に負担が掛か らないのでいい。もつ鍋が焼肉の油を胃に押し込んでくれる気がする。石造りの鍋の様な形状をしているが、肉をかなり焼いても底に油が溜まらないので、溶岩 のような材質なのかも知れない。表面が起伏に富み、表面積が大きく、油をある程度なら拘束してくれるとかなんとか。





 牛もつ鍋 しお味。

 ここからが本番。そしてこの店の主役の一角。しお味は淡白に思えるかも知れないが、恐らくは牛の部位で出汁を取っているのだろうが、物足りないと感じる 事はない。まぁ、もつ鍋なので、暫く待てば水が揮発して、濃度が上がるので、薄味だと思えばしばらく待つと濃さは調節できる。具材は変わったものが入って いる訳ではないが、もつは適度に弾力がありながらも仄かな甘みがあり、特にキャベツに程よく芯が残されている為に、この辺りに味がしみ込みつつも、食べご たえを感じた。どちらかというと野菜が主役に思える。これは出汁が悪いと無理な芸当であろう。追加で具材を頼めるが、野菜ばかりを頼んでいた。




 牛もつ鍋 みそ味。

 正直なところ、今まで食べたもつ鍋の中でも断トツの一番である。恐らくは白みそであろうがそれをベースとした出汁は、もしかするとしお味に幾つかの材料を加え込んだだけかもしれないが、今まで口にしてきたどの出汁よりも味わい深い。味の濃淡ではなく、また違った意味で深みを感じさせるのだ。みそ味というよりも、豚骨スープと思える程であるからして他の店とは別と考えていいだろう。





 雑炊か中華そばか……

 しお味なら中華そばで、みそ味なら雑炊がいいでしょう。特にみそ味の雑炊は、ある程度、煮立って濃厚になっているところにご飯を入れるので、味の濃厚さ が際立っている。どれくらい美味いかというと、写真を撮ることを忘れるくらいである。ちなみに写真は、しお味の中華そば。




 キムチ。

 普通のキムチだった……。鶴橋に並ぶ焼肉屋みたいに拘りのある自家製のものかも知れない……と思ったが、別にそうでもなかったようだ。普通のキムチである。




 メニュー。

 メニュー自体は然して多くないが、焼酎と日本酒が意外とある。もつ鍋屋は、酒に関してはかなり充実している店が多い気がする。京都の虎屋といい。あっちは50種類近くあったような。でも、一杯五二五〇円の梅酒というのはちょっと……






 まとめ

 近江牛のA5ランクを出すだけあって、焼き肉は少々、お高いが、もつ鍋だけならばお安く済む。恐らく、もつに関しては、近江牛ではないかも知れないが、 もつは余程ひどい牛でなければ、ロースなどと比べてムラは少ないので問題ないだろう。気になるなら焼いてみると良い。何処かのホルモン焼肉のチェーン店み たいに、驚くほど小さくなったりはしないだろう。今までの狐生(一応、御狐様なので)で、一番のもつ鍋であるが、恐らくはこの味を維持できるならば、北新 地に進出しても十分に通用……いや、他店を圧倒できるかも知れない。


 



 

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