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外観
一枚目の小さな看板のある小道に入り、暫くすると二枚目のような門が右手に見える。門構えが厳ついので初見の方は入り難い雰囲気を漂わせているが、実際 に入ってみるとそうでもない。普通の民家(古民家でもない)を改造した気配が漂う。厳密に言うと壁をぶち抜いて作られた部分や、遺されたままの硝子扉など が見受けられる。内装は良くも悪くも緊張する様なものではなく落ち着ける。
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つきだし
時期によって変化するので行く度に楽しめる。基本的に酒の肴のようなものが三種類で、つきだしが此処まで充実している店はあまり見かけない。一応、ホタ ルイカや蕪の冷製スープ?などを見る限りは、時期に合わせたものを出してくれている様に見える。これで日本酒を一合は行けるほどに充実しているので、訪れ るとつきだしだけで一杯を飲み切ってしまう。
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刺身盛り合わせ
内容は兎も角として、常に盛り合わせの形が変わっている姿は見ていて楽しめる。時折、花が添えられているのだが、もしかすると季節に行くと桜なども添え られているかも知れない。……そう言えば京都では、近くの桜から勝手に枝を切って料理に使ったと警察沙汰になった料亭があった様な。
正直なところ、滋賀で美味い刺身を!と言われても「いや、無理です」「福井に行け」と即座に返すくらい滋賀は地政学的に鮮魚という部分では不利なので す。一件目に紹介した“せかんどはうす”も随分と立派な金額の割には……ですからね。鯉の洗いやビワマスの刺身などは、滋賀の強みですが、海魚はどうして
も他県に劣ります。しかし、ここの刺身は値段と味の釣り合いが取れているので満足できるのです。炙ったりという工夫に加えて、写真にも写っているワサビの となり……恐らくは葉わさびなのですが、これが酒に合うのです。鼻にくる葉ワサビの風味を楽しむこともできますが、これを刺身に乗せて食べるとまた一味変 わる訳ですね。
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カモの黒みつ焼き
黒蜜はあまり好きではないのですが、そこまで甘さが表に出てきている訳ではなく、寧ろ肉の油分と混ざることでしつこさが無くなるので食べ易いですね。ど うも鴨肉のローストというのはビールが欲しくなる。しかも、加熱すると肉質が硬くなりやすい鴨肉ですが、これは柔らかくて食べやすいようです。加熱の仕方 に方法があるのだろうか?
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おこげとミスジのブルスケッタ
おこげの上に程よく赤身の残った牛肉を乗せた一品。中央のタレを付ける訳ですが、パリパリのおこげを掴んで口に運ぶとおこげがバラバラに空中分解する訳 です。一口で食べないとならないわけですね。肉の味におこげのサクサクとした感触というのは新鮮ですが、やはりおこげが少し大きい……途中から面倒なので 肉とおこげを別々に食べてしまいました。
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エビのマヨネーズ和え
油分が多いのでビールが進む一品。エビチリのマヨネーズバージョンというところだろうが、自分としてはこちらのほうが好みですね。口の中に広がる酸味が海老の瑞々しい感触と絡んで、エビチリの様に辛さで海老の感触が鈍く感じられるような事も有りませんので。
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やげん軟骨のチリ和え
正直なところやげん軟骨というのも色々とありまして、中にはかなり固い部分が混じっていて涙目になる様なものもあります。幾度か出くわしましたが、ここ のやげん軟骨は、文字通り軟骨なので安心して口に運ぶことができます。程よい辛さなですが、夏場にビールを流し込む為のお供としては些かインパクトに欠け るかも知れません。ですが、日本酒のお供なら寧ろこの辺りの辛さが一番であると思います。
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ひね鶏のにんにく醤油焼き
にんにくの風味と醤油の香ばしさが漂う一品。にんにくがかなり自己主張しているので、女性は嫌がるかも知れませんが、醤油を使っている事もあって日本酒 にはよく合います。野郎ばかりで行くと、こうした炒め物は決まって野菜だけが残るのですが、これに関しては野菜にも味が良く染みているので綺麗に無くなります。
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フォアグラとカモのオーブン焼き
高級感漂う一品。鴨肉にフォアグラを乗せるというのは初耳といいますが、フォアグラやトリュフなどの食材とはあまり接しない人生なので、正直なところ高 級食材がどうなどと言えないのですが、脂の塊のフォアグラと鴨肉から溢れる肉汁が合わさり、濃厚な味わいとなっております。脂に脂という組み合わせです
が、フォアグラの脂が優勢なので口の中が脂で満たされるのですが、これを辛口の日本酒で胃に押し流すというのが実に心地良い訳です。
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新サンマのユッケ
刻み海苔で隠れていますが卵の黄身も乗せられており、混ぜると刻み海苔のぱりぱりとした感触と卵の濃厚な黄身が秋刀魚を包み、まろやかさの中に秋刀魚の 青臭さが垣間見える一品です。季節のものなので、時期によってはないと思いますが、こうした季節を感じさせる料理があるからこそ日本という国の良さを感じ取れる気がします。
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甘鯛の唐揚げ
甘めの味付けがされた甘鯛の唐揚げで、すだちを絞ることで味が引き締まります。酸味で甘さが引き立ちながらも、白身が柔らかなので味がしみ込みやすく、 噛む度に白身魚の味が増すので、酒の肴には打って付けと言えるかも知れません。衣も柔らかく箸先を拒まない為に、箸でほぐしながらゆっくりと楽しむということもできます。
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国産ハマグリのパン粉焼
国産の蛤を使っていることを強調している料理。確かに最近は巷を食品偽装などが騒がせているので客の不安を払拭するというのは重要なのかも知れません。 しかし、それにしても巨大な蛤である。パン粉のさくさくとした感触に、巨大蛤の磯の香りが楽しいのですが……貝殻が大きく見えるだけで、身の部分は実際の ところ思ったよりも小さい訳でして一口なのです。つまり四つで四口……世知辛い。
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松阪ポークのロースト
松阪ポーク……恐らく知っている人はそういないはず。自分も知りませんでした。牛のほうが知っているのですが、豚もあるとは思いませんでした。まぁ、滋 賀でも近江牛が有名な代償に、隣の京都牛の知名度が酷いことになっているので、そうした悲劇も国内にはそれなりにあるのでしょう。
さて、料理の話に戻しますと、ローストしたガーリックを乗せた松阪ポークを醤油ベースのタレとワサビ、マスタードなどを選択して食べることができます。 醤油もいいのですが、自分のオススメとしてはワサビですね。肉の脂っぽさを相殺してくれる上に、ワサビの風味と共に肉の風味まで鼻に運んでくれるので素晴 らしい。
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太刀魚の刺身
あまり見かけない一品。
太刀魚は塩焼きや煮付け、唐揚げなどが多く、鮮度に自身がある場合でないと刺身にはしないので滋賀では珍しい事と言えます。ちなみにこちらは軽く炙ら れており、添えられたレモンを絞って食します。仄かな香ばしさとレモンの酸味は、他の刺身と一線を画しており飽きません。
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唐揚げ ポン酢
唐揚げをポン酢とおろし大根でいただく一品。
他の店でもたまに見かけますが、こちらの唐揚げは大変柔らかく、これをポン酢とおろし大根という和風な味付けで食べる訳です。普通の唐揚げもあるのです が、呑み助が居酒屋に行くと脂肪分の多いものばかりを注文するので、こうして胃に負担の掛からない味付けは嬉しいですね。溢れるに肉汁とポン酢とおろし大 根の組み合わせは、ビールが進みます。
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岩牡蠣
季節には口にしたくなる一品。
牡蠣は大好物なので見かけたら必ず注文します。まぁ、生牡蠣は料理店の調理よりも、原産地がどこなのかという部分に大きく左右されるので、難しい料理? なのかも知れません。ほぼ、そのままで出す訳ですから料理人としては腕の振るい甲斐がない……からこそあまり見かけないのかも。
ちなみにここでは柚子が添えられており、さわやかな酸味と柚子の風味が仄かに香ります。少しの工夫ですが、これだけで随分と印象が変わります。
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牡蠣と地鶏のトマト煮込み
濃厚なトマトスープで地鶏と牡蠣を煮込んだ一品。
じっくりと煮込まれているのか牡蠣も地鶏も十分に味がしみ込んでおり、地鶏に限っては煮崩れ寸前まで煮詰めているようにも思える程に柔らかく、熱々のそ れを口に放り込んではビールで冷ますという行為を繰り返すわけですね。覿面に酔います。ちなみにパンも付いているので、スープにたっぷりと浸して食べると いうのも可能です。日本寄りな料理が多い中で珍しく洋風ですね。
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エビとキノコのアヒージョ
こちらも洋風……スペインな一品。
エビとキノコという食材は、御存知の方も多いと思いますが、実はアヒージョの具としては然して珍しいものではありません。日本語で言うところの油煮とも 言えるアヒージョは自己主張が激しく、日本酒には合いません。前者が圧倒する訳ですね。ですが、こちらは恐らくニンニクなどを減らしているのかそれほどの
インパクトがないので、日本酒のお供にできないこともありません。……まぁ、熱いのでビールが一番なのですが。
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塩焼きそば
何処の店にもある様に見える一品。
しかし、その味は酒飲みの好みに合わせているのか、かなり濃口に仕上げられており、酒の肴にもなる優秀な焼きそばです。腹も膨れて肴にもなるという本来は相反する二つの要素を満たす例は少ないのですが、これはまさにそれに当て嵌まります。濃厚な塩味がする麺にキャベツを噛み締めると水分が欲しくなり、つ いつい飲み過ぎてしまう。恐ろしい策士である。
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エイヒレ
恐らくこの店で一番の一品。
エイヒレなどどこでも出てくるので変わり映えしないと思われるかもしれないが、突き詰めていくとやはりどの様な料理でも他と一線を画すことができるとい う一例として挙げられるほどの質を誇っております。店によっては固いエイヒレが出てきてビーフジャーキーのような扱いをされたりもしていますが、ここでは
柔らかいエイヒレを、自分で固形燃料で炙りながら食べることができるのです。柔らかくも暖かいエイヒレに、たっぷりと一味の掛けられたマヨネーズをたっぷ りと付けて口に放り込む。炙った為に熱を帯びたエイヒレの焦げ目と、一味でピリッとしたマヨネーズの風味は、日本酒の肴として最適です。
こうして眼前で自ら炙って食べるというのは少ないですからね。時折、焼肉や海産物を網焼きで食べるような店で見かけますが、そちらはエイヒレの質が悪く残念な場合が多いので、こうしたものは中々口にできない訳です。
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おすすめメニュー
普通のメニューとは別に、日毎に変化を見せるおすすめメニューです。同じものを見かける時も有りますが、二度と見かけなくなったりするメニューもありま すので、恐らくは見つけてきた食材に合わせてメニューを変更しているのだろうかと。季節に合わせた食材を利用している場合が多いので、何度訪れても飽きが
来ない訳ですね。特に呑み助や高齢の方を持て成す場合はこうした料理屋の方が楽しんでいただけると思います。季節の食材に敏感ですので。
まとめ
大将の気分次第で変わるメニュー……というわけではないですが、こうした変化のある料理屋というのは固定客を掴みやすいのか、よく見かける客もいます。大将は隣の平兵衛庵という懐石料理屋の大将の倅さんらしく、店の看板にも“平兵衛庵別館”と書かれています。
周囲にライバルが少ない立地なのですが、同時に初見の客が見つけ難い立地でもあります。なので他の大通りの店と比較すると不利なようにも見えますが、そ れでも週末にはかなりの賑わいを見せているので、上手く商売しているのでしょう。近くの旧中山道、かつての五街道も今はすっかりと寂れてしまっています が、或いはこうして散策してみるとこうした料理店を発見できるのかも知れません。